2025-05-19

超過税率は「超過」じゃない?

「超過税率」をご存じですか?「地方自治体の条例に基づき、標準税率よりも高く設定された地方税の税率」のことで、東京都は、法人事業税の所得割、法人住民税の法人税割などに超過税率を採用しています。

でも具体的にはどういう意味で、英語では何と言うのでしょう?まとめてみました。

先ず日本語の意味ですが、以下のようになります。

標準税率 地方税法で定められた地方税の税率。全国一律。
超過税率 地方税法で定められた税率に地方自治体が独自に税率を上乗せして定めた税率。

つまり「超過税率」は簡単に言うと、

(標準税率より)高い税率

という意味です。上乗せ部分を意味するわけではありません。

  • 標準税率 3.5%   ➡ 地方税で定められている税率
  • 超過税率 3.75% ➡ 東京が 0.25% 上乗せして定めた税率
となります。

つまり超過税率はあくまで 3.75% であり、上乗せ(超過)部分の 0.25% を意味するわけではありません。ですから、その英訳(例)は以下のようになります。

所得割の超過税率=the higher rate of income levy of local enterprise tax* 
* 法人事業税所得割のケースです。法人事業税についてはこちらをどうぞ。 

「超過」というと、excess を使いたくなりますが、excess tax rate とすると「標準税率を超過する部分(つまり上の例で言うと0.25%)」と解釈される可能性があります。

Collins でも以下のように説明されています。

Excess is used to describe amounts that are greater than what is needed, allowed, or usual.

ですから、所得割の標準税率と超過税率の関係を英語にすると、

 標準税率(3.5%)+    追加税率(0.25%) =   超過税率(3.75%)
Standard tax rate  +  Excess/additional tax rate  =  Higher tax rate

ぐらいになると思うのですがいかがでしょうか。

日本語が分かりにくいと英訳も分かりにくくなる、あるいは間違った英訳になります。翻訳者にリサーチ力が求められるのはこういう間違った(あるいは不明確な)日本語が横行しているからだと思います。

(2023年10月25日に書いた記事を改訂しました。)
------------------------------
税務英語の目次はこちら♬
会計税務英語五十音検索はこちら
会計税務英語に関する記事です。質問、コメントお待ちしております!Google アカウントを持ってない方は、「Google アカウント」をクリックし、「匿名」か「名前/URL」を選択してからご記入ください!

0 件のコメント:

コメントを投稿

適格請求書(QI) - 登録番号が通知されないときの対応

適格請求書の登録申請をしたのに番号が通知されないときはどう対応したらいいのでしょう。日英で表にしました。