KeiNarujima から移行しました。
本シリーズの目的は、専門的な会計税務の日本語文章を「正確に訳すためのこつやプロセス(リサーチの仕方、単語の選び方等)」を「文書化」し、多くの方とシェアすることです。私は長年、金融翻訳、特に会計税務の翻訳に携わってきました。米国公認会計士(US CPA)試験の全科目に合格しています。ただ、実務には携わってはおりません。また帰国子女でもなく、留学の経験もありません。
第11回から国税庁の「外国の親会社から無償で支給される原材料を輸入し、国内の工場において半製品に加工して加工賃を受け取る取引における消費税の取扱いについて」を訳しています。
外国の親会社から無償で支給される原材料を輸入し、国内の工場において半製品に加工して加工賃を受け取る取引における消費税の取扱いについて
日本語原文
(2) 本件原材料及び本件半製品の輸出入について
当社は、関税法第67条《輸出又は輸入の許可》の規定に基づき、本件原材料について輸入申告(以下「関税の輸入申告」といいます。)を税関長に行い、輸入の許可を受けた上で輸入します。その際、消費税法第47条《引取りに係る課税貨物についての課税標準額及び税額の申告等》第1項及び輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律第6条《引取りに係る課税物品についての申告、納税等の特例》第1項の規定に基づき、本件原材料の引取りに係る消費税(以下「輸入消費税」といいます。)の申告書(以下「輸入申告書」といいます。)を、関税の輸入申告に併せて税関長に提出し、輸入消費税を納付します。
また、当社は、本件原材料に本件加工作業を施した後、本件半製品について関税法第67条の規定に基づく輸出申告を税関長に行い、輸出の許可を受けた上で輸出します。
なお、当社が輸入する本件原材料は、関税定率法第17条《再輸出免税》第1項各号に掲げる貨物に該当しないことから同条の規定による再輸出免税の適用がなく、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律第13条《免税等》第1項第4号の適用もないことから、本件原材料に係る輸入消費税は免除されません。
Sample translation
(2) Import of Raw Materials and export of Semi-Finished Products
The Company makes import customs declarations for Raw Materials under Article 67 of the Customs Act. It also at the same time files Japanese consumption tax (JCT) returns for these materials with the customs office to pay import JCT under Article 47(1) of JCT Law (JCTL) and Article 6(1) of the Act on Collection, Etc., of National Consumption Tax Imposed on Imported Goods (hereinafter "Import JCT Act").
Customs Act, Article 67 "Export/import declarations"
JCT Law (JCTL), Article 47 "Calculation of tax basis and tax due," Paragraph 1
Import JCT Act, Article 6 "Exceptional rules on tax filing and payment upon release of taxable goods," Paragraph 1
Import JCT Act, Article 13 "Exemption from JCT," Paragraph 1, Item 4
第六条 課税物品を輸入の許可を受けて保税地域から引き取ろうとする者は、輸入申告に併せて消費税法等の規定(石油石炭税法第十五条第二項(引取りに係る原油等についての課税標準及び税額の申告等の特例)の規定を除く。)による引取りに係る課税標準及び税額の申告書又は引取りに係る課税標準の申告書を提出するものとする。(赤字はナルジマ)
つまり、「輸入申告と消費税の申告を同時にやれ」ってことなんですね。ですから「It also at the same time files ~」としました。
条、項、号。法令を訳すとき避けて通れない単語です。いろいろありますが、私は以下のようにしています。
Item 3 of Paragraph 2 of Article 1 とか
と書くことが多いです。ただ、英語では法令に関する情報は脚注に書くことが多いので、私もそうしました。本文が読みやすくなります。
ちなみに、条、項、号等を表す単語も国によって異なり、OECDの条約だと、
Subtitle
Chapter
Subchapter
Part
Subpart
Section → 条
Subsection → 項
Paragraph → 号
Subparagraph
Clause
Subclause
Item
Subitem
国によっても、勤務先の事務所によっても、言い方は異なるようですが、大事なことは「一貫性」。決めたら(あるいはルールがあればそのルール通りに)、その表示法を最後まで一貫して用いることが重要です。
日本人大好き、アメリカ人大嫌いな「etc.」。ただ、避けられない時もあります。そういう時のために正確な使い方を覚えましょう。
文中の場合は「, etc.,」です。つまり、
Tennis, soccer, baseball, etc., are outdoor games.
まず、etc の前にカンマ、後にピリオドとまたカンマです!末尾に来る場合は、
Being outdoors, we played tennis, soccer, baseball, etc.
となり、etc の前にカンマ、後はピリオド一つだけ(カンマなし)となります。
(4) 「~に基づき」は使い分け
If any increase determined under paragraph (2)(A), section 63(c)(4), section 68(b)(2) or section 151(d)(4) is not a multiple of $50, such increase shall be rounded to the next lowest multiple of $50.
This Convention shall not affect the taxation, by a Contracting State, of its residents except with respect to the benefits granted under paragraph 3 of Article 7, paragraph 2 of Article 9 and Articles 19, 20, 23 [A] [B], 24, 25 and 28.
His funeral will be private, in accordance with his wishes. 故人の意思に基づき彼の葬儀は密葬で行われる。
She always did everything according to the rules. 彼女は常に全てをルール通りに行った。
「法令や規定に従い/基づき」のような堅い場合には、under が一番馴染むかもしれません。
次回に続きます。
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