通算グループ内の法人の間の取引の損益調整 No.1の続きです。
解説(法令名等、例示は省略)
(1) 内国法人(普通法人又は協同組合等に限ります。)がその有する譲渡損益調整資産をその内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人(普通法人又は協同組合等に限ります。)に譲渡したことにより生じた譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額は、その譲渡した事業年度において損金の額又は益金の額に算入することとされています。
この「譲渡損益調整資産」とは、固定資産、棚卸資産たる土地(土地の上に存する権利を含みます。)、有価証券、金銭債権及び繰延資産で一定の資産(注)以外の資産をいいます。
本件は、その内国法人S1社及び他の内国法人S2社がともに同一通算グループ内の通算法人である場合(すなわち、通算完全支配関係がある場合)ですが、通算完全支配関係も完全支配関係に該当しますので、この場合でも同様に、通算法人S1社がその有する譲渡損益調整資産を通算グループ内の他の通算法人S2社に譲渡したことにより生じた譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額は、その譲渡した事業年度において損金の額又は益金の額に算入することとなり、譲渡損益が繰り延べられます。
(注) 一定の資産とは、次に掲げる資産をいいます。
イ 売買目的有価証券
ロ その譲渡を受けた他の内国法人(その内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人に限ります。)において売買目的有価証券とされる有価証券
ハ その譲渡の直前の帳簿価額が1,000万円に満たない資産(通算法人が法人税法第61条の11第8項に規定する他の通算法人の株式又は出資を当該他の通算法人以外の通算法人に譲渡した場合を除きます。)
(2) また、繰り延べられた譲渡損益について、例えば次のような事由が生じたときには、所定の計算により算出した金額は益金の額又は損金の額に算入(戻入れ)することとなります。
イ その譲渡損益調整資産を取得した法人(譲受法人)が完全支配関係グループ内の他の法 人へその譲渡損益調整資産を譲渡したとき
ロ 譲受法人が完全支配関係グループ外の第三者へその譲渡損益調整資産を譲渡したとき
ハ 譲受法人においてその資産の償却、評価換え、貸倒れ、除却等を行ったとき
ニ その譲渡損益調整資産を譲渡した法人(譲渡法人)が一定の事由により譲受法人との間に完全支配関係を有しないこととなったとき
ホ 譲渡法人が通算制度の開始・加入・離脱等に伴う時価評価を行うこととなったとき
通算グループ内で譲受法人(S2社)が他の通算法人S3社に譲渡損益調整資産を譲渡した場合(上記イ)におけるその譲渡損益調整資産に係るS1社・S2社の取扱いを示すと次のとおりです。
ただし、通算制度においては、上記(1)の譲渡損益調整資産の譲渡が他の通算法人(損益通算の規定等の適用を受けない一定の法人及び通算親法人を除きます。)の株式又は出資の当該他の通算法人以外の通算法人に対する譲渡であるときは、上記(2)の戻入れの規定は適用されず、その株式又は出資の譲渡に係る譲渡損益は計上されません。この場合、その譲渡益又は譲渡損に相当する金額は、利益積立金額に加算又は減算することとなります。
したがって、通算法人S1社の通算法人S2社に対する譲渡損益調整資産の譲渡がS2社以外の通算法人(損益通算の規定(法64の5)等の適用を受けない一定の法人及び通算親法人を除きます。)の株式又は出資の譲渡であるときは、戻入れは行わないこととなります。
- an asset with book value immediately before the transfer of less than JPY10 million
Therefore, if Subsidiary1 transfers to Subsidiary2 shares or capital contribution in another Group company (other than Subsidiary2, a Group company exempt from the rules on the offsetting of current profits and losses or the Group parent company), Subsidiary1 may not reverse or recognize the deferred gain or loss.
この「譲渡損益調整資産」とは、固定資産、棚卸資産たる土地(土地の上に存する権利を含みます。)、有価証券、金銭債権及び繰延資産で一定の資産(注)以外の資産をいいます。
本件は、その内国法人S1社及び他の内国法人S2社がともに同一通算グループ内の通算法人である場合(すなわち、通算完全支配関係がある場合)ですが、通算完全支配関係も完全支配関係に該当しますので、この場合でも同様に、通算法人S1社がその有する譲渡損益調整資産を通算グループ内の他の通算法人S2社に譲渡したことにより生じた譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額は、その譲渡した事業年度において損金の額又は益金の額に算入することとなり、譲渡損益が繰り延べられます。
(注) 一定の資産とは、次に掲げる資産をいいます。
イ 売買目的有価証券
ロ その譲渡を受けた他の内国法人(その内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人に限ります。)において売買目的有価証券とされる有価証券
ハ その譲渡の直前の帳簿価額が1,000万円に満たない資産(通算法人が法人税法第61条の11第8項に規定する他の通算法人の株式又は出資を当該他の通算法人以外の通算法人に譲渡した場合を除きます。)
(2) また、繰り延べられた譲渡損益について、例えば次のような事由が生じたときには、所定の計算により算出した金額は益金の額又は損金の額に算入(戻入れ)することとなります。
イ その譲渡損益調整資産を取得した法人(譲受法人)が完全支配関係グループ内の他の法 人へその譲渡損益調整資産を譲渡したとき
ロ 譲受法人が完全支配関係グループ外の第三者へその譲渡損益調整資産を譲渡したとき
ハ 譲受法人においてその資産の償却、評価換え、貸倒れ、除却等を行ったとき
ニ その譲渡損益調整資産を譲渡した法人(譲渡法人)が一定の事由により譲受法人との間に完全支配関係を有しないこととなったとき
ホ 譲渡法人が通算制度の開始・加入・離脱等に伴う時価評価を行うこととなったとき
通算グループ内で譲受法人(S2社)が他の通算法人S3社に譲渡損益調整資産を譲渡した場合(上記イ)におけるその譲渡損益調整資産に係るS1社・S2社の取扱いを示すと次のとおりです。
ただし、通算制度においては、上記(1)の譲渡損益調整資産の譲渡が他の通算法人(損益通算の規定等の適用を受けない一定の法人及び通算親法人を除きます。)の株式又は出資の当該他の通算法人以外の通算法人に対する譲渡であるときは、上記(2)の戻入れの規定は適用されず、その株式又は出資の譲渡に係る譲渡損益は計上されません。この場合、その譲渡益又は譲渡損に相当する金額は、利益積立金額に加算又は減算することとなります。
したがって、通算法人S1社の通算法人S2社に対する譲渡損益調整資産の譲渡がS2社以外の通算法人(損益通算の規定(法64の5)等の適用を受けない一定の法人及び通算親法人を除きます。)の株式又は出資の譲渡であるときは、戻入れは行わないこととなります。
長いですが英語にしてみました。
Analysis(法令名等、例示は省略)
(1) Japanese corporate tax law requires that a gain or loss on the transfer of certain assets (see below for a definition) between Japanese companies must be deferred if one company is fully controlled* by the other.
Certain assets are:
- fixed assets;
- land as inventory assets (including rights on the land);
- securities;
- monetary claims; and
- deferred assets;
excluding the following:
- held for trading securities
- securities treated as held for trading securities by the transferee company- an asset with book value immediately before the transfer of less than JPY10 million
The Japanese group relief rules allow only a Japanese company and other Japanese companies fully controlled by that Japanese company to form a Group. This means that Subsidiary1 and Subsidiary2 are both Japanese corporations and related through fully controlling relationship*. As such, the gain or loss on the asset transferred by Subsidiary1 to Subsidiary2 should be deferred for the fiscal year in which the transfer occurs.
(2) Japanese corporate tax law also provides that if any of the following events occurs, the amount of the gain or loss calculated in a certain manner should be reversed and recognized:
A. The transferee transfers the asset to another Group company.
B. The transferee transfers the asset to a third-party company outside the group.
C. The transferee depreciates, revalues, writes off, or disposes of the asset.
D. The transferor ceases to have fully controlling relationship with the transferee for a certain reason.
E. The transferor becomes subject to mark-to-market asset valuation due to formation of, joining, or withdrawal from a Group.
A. The transferee transfers the asset to another Group company.
B. The transferee transfers the asset to a third-party company outside the group.
C. The transferee depreciates, revalues, writes off, or disposes of the asset.
D. The transferor ceases to have fully controlling relationship with the transferee for a certain reason.
E. The transferor becomes subject to mark-to-market asset valuation due to formation of, joining, or withdrawal from a Group.
This, however, does not apply if the transferred asset is shares or capital contribution in another Group company (other than a Group company exempt from the rules on the offsetting of current profits and losses or the Group parent company). The transferor may not recognize the gain or loss but instead has to add the gain to, or deduct the loss from, its retained earnings.
Therefore, if Subsidiary1 transfers to Subsidiary2 shares or capital contribution in another Group company (other than Subsidiary2, a Group company exempt from the rules on the offsetting of current profits and losses or the Group parent company), Subsidiary1 may not reverse or recognize the deferred gain or loss.
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